何だこりゃ?小さくなってるぞ?

1/1
前へ
/156ページ
次へ

何だこりゃ?小さくなってるぞ?

いつものように駅に向かい、改札を抜けてホームで電車が来るのを待つ。 そしていつも満員の電車に乗って、痴漢に見間違われないよう、両手でつり革に掴み、鞄は上の棚に置いておく。 こんな事をかれこれ20年近くやっている… 見慣れた風景、いつもの様子。 マンネリ化してるのは当たり前。 だが、何故か今日はいつもと雰囲気が違う… 何故だろう?さっきまで家で妻と娘と一緒に朝食を摂って、妻の運転する車で駅まで着いたのはいいのだが… はて、何かおかしい。 何て言うか、いつもの風景なのだが、ちょっと変だ。 【お前はもういっぺん中2からやり直すのじゃ…】 「えっ?」 ふと周りを見渡した。 誰か今、オレに話しかけてこなかったか? 何だ今の声は? 疲れているのだろうな、そう思って改札をくぐり、ホームで電車が来るのを待っていた。 …あれ?いつもホームで電車を待ってる人達が何て言うか、大きくなっているような… いや違う、いつもの風景だが、目線が少し違うぞ? …オレこんなに低い目線だったか? 【ウワッハッハッハッハッハ!お前の身体は成長期の頃に戻っているのじゃ!】 「誰?」 またさっきと同じ声がする… 誰だ一体?オレはまた周囲を見回した。 「あれ?なんか変だぞ…」 ホームで前に立っている乗客、確かこの人、オレより背が低かったはずなのにオレより背が高くなってる! いや、この人だけじゃない、横にいる人も、後ろにいる人もオレより背が高い! えっ、何で何で? 【だから言ってるだろ、お前の身体は中2に戻っていると】 「さっきから誰なんだよ!」 オレは周りを見回し、思わず声を上げた。 【何さっきからブツブツ言ってるんだろ、あの子…】 【ちょっとおかしいんじゃないか】 【何だあのガキ、さっきから独り言ばっか言って】 え?何だって? オレはふと自分の足元に目をやった。 「へ?何じゃこりゃ?」 ブカブカの革靴にダブダブのスーツ… 「オレ、小さくなってる!」 何で何で?ねぇ、どうして?
/156ページ

最初のコメントを投稿しよう!

17人が本棚に入れています
本棚に追加