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ギシッというベッドが軋む音で俺は目を覚ました。
うっすらと目を開けると隣にあるはずの人の姿がなかった。仕方なく薄暗い部屋の中を見渡すと、部屋の窓を開けて外を眺める優斗が目に入った。
「優斗……?」
「ああ、悪い。起こしたか?」
「どうかしたのか?」
ベッドの下に散らばった服の中から下着を拾い上げると、俺は手早く身に着けて優斗の隣に並んだ
そんな俺に目を向けることもなく、優斗は外を眺め続けていた。
「満月か」
「ああ」
真っ暗な空に、青い青い月が一つ。辺りを照らすように浮かんでいた。
あんな月を見ると、あの日のことを思い出す。まだ俺らが今よりずっと幼くて、憧れと希望だけを抱いてこの学校の門をくぐったあの日のことを。
「あの日も、こんな月だったな」
「……そうだな」
優斗も同じことを考えていたのか、そう呟くとふっと声を漏らして笑った。
「最初さ、俺のこと上級生だと勘違いしてたよな」
「しょ、しょうがねえだろ! 頭一個俺らよりデカくて、それでもって大人びた顔をしてたお前を、同級生だって思う方が難しいって」
「大人びて、か……」
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