朝の陽の珠

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朝の陽の珠

「どこか、日の出でも見に行きたいな」  なんて、唐突にこぼしたのだった。  十一月二日、木曜日。放課後、強制下校の時刻を告げる校内放送が聞こえるまで、私たちはいつものように廊下の窓から外を眺めながら、二人で他愛ない話をしていた。  本日は木曜日。だけれども、明日は休み。  十一月三日は文化の日。もちろん高校もお休みだった。いつもより早い週末の訪れのためか、およそ一カ月ぶりの三連休のためか、授業が終わった後の学内では、あちらこちらで、そわそわが湧いて踊っている。  三連休は、一応、嬉しい。普段は学校のある金曜日が休みになるのだ。嬉しくない、ことはない。でもすっきり言い切れない。  だから沙優(さゆ)との会話中、翌日が休日だということを思い出し、その話題になったときにも、心の隅には(もや)がかかっていた。     
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