朝の陽の珠

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 どうせまた私は無為に休日を過ごしてしまうのだろう。休みだからといって夜更けまで起きて、自室の窓の向こう、明るみ始める世界に溜め息を返し、絶望的な悲観が押し寄せる前に隠れるように布団に潜り込み眠る。逃げられる期間がいつもより一日延びただけ。そんな生活をしても、休み明けの学校がますますつらくなるだけなのに。  そんなやるかたない未来がありありと想像される自分に嫌気が差して、ふと私の口から漏れたのだった。 「どこか、日の出でも見に行きたいな」  話の流れを顧みても突飛な発言だと自分でも思う。  私はいつもそうなのだ。何か面白そうなこと、してみたいこと、興味あることを頭の中で浮かべては、膨らんだり、萎んだり、ひとつは弾けて、そうかと思えば向こうで新しいのが生まれて。泡沫のように、気まぐれで気分屋。だけれど、時間や実力……なんでもいい何かを言い訳にして実際にやってみようとはしない。  動かない。変わらない。  たまに、頭の中の泡がどうしようもなく大きくなって、ふと口から零れることがある。これこれがしたい、それそれはいいな、あれあれに行きたい、どれどれが気になる。無責任で曖昧な願望が私の唇を震わせて漏れる。――特に、沙優と話しているときに多い気がする。     
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