顔のない私たち

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 今日も遊ぶのは、剛くんとだ。剛くんは私のツガイ。私は将来剛くんと結婚して子供を産むのだ。  モノゴコロつくころから、そう言われてきている。お父さんもお母さんもそうしてきたのだ。  少子化ってやつが進みすぎて、とられたのがツガイ政策だ。生まれた時からツガイを決めておく。ずっとその人と一緒に居続ける。他の人と遊ぶことは無い。そうして私達はキズナを深めて、子供を産む。  子供を産んだあとのことは、心配しなくても大丈夫。お金の補助も人の補助もちゃんとしてるらしい。たとえ私みたいな小学生が子供を産んでも、国が助けてくれる。 「それをもっと早くやっていればこんな人の道を反したことにはならなかったとに」  って、去年亡くなったひいおばあちゃんはよく言っていた。なんか昔は子育て支援? がなかったらしい。でも、今それがあるからいいよね。  剛くんのことは嫌いじゃない。剛くんも別に私の事嫌いじゃないと思う。  ツガイは遺伝子とか星まわりとか、よくわかんないけどそういう色々で最適なペアを見つけ出している。それでも、時には上手くいかない時があるらしい。そういうのに、比べたら、私と剛くんは上手くいっている。  でも、最近はちょっと微妙。三年生ぐらいから合わないことが増えてきた。遊びたいことがなんか合わない。私はお絵かきとかしたいのに、剛くんは外で遊びたがる。剛くんは力が強いからボール遊びとか怖い。来年から中学生だけど、そしたらもっと合わなくなりそうな気がして、困惑している。
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