名前

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「では次の方。 結輝アイ さん」 「はいっ!!」 極度の緊張で想定外の大きな返事になってしまい全身からヘンな汗が噴き出すアイの前には、1本のマイクが置かれている。 「はは、緊張してるね。 みなさんそうなりますよ。  アイさんは中学3年生ね。  部活は、、体操をやられてる?」 「はい! 床運動です!! ほ、補欠ですけど」 「いいですね、デュエリストは体力勝負ですから」 「ありがとーーございます!!」 「では、そこの『スピリット』持ってみてください。  『スピリット』のことは知ってますよね?」 「はは、はい!」 腰のあたりで手汗をぬぐい、待ち焦がれた『スピリット』を手にする。 にぎるとかすかな振動が伝わってくる。まるで心臓の鼓動のような・・・。 「目をつぶって、心を落ち着かせてください。  緊張してると思うけど、時間はありますからね」 不意にユミコの顔が浮かんだ。いつもの笑顔に少し気持ちが落ち着く。 両手で握った『スピリット』の感触は冷たいような、温かいような。 そのとき急に『スピリット』の重さが感じられなくなった。 手に持っているのかどうかもわからない。 目を開けると、そこには太陽が見えた。 他には何も見えない。 「わたしは『アポロン』。 あなたの内なる名前です」 気づかぬうちに流れていた涙をふくと『スピリット』はそのカタチを変えていた。 マイクから左右にアームのようなものが伸び、長くなったマイクの底と弦のような細いラインでつながっている。まるで弓矢だ。 手をひねると正面に円盤が見えた。中心から放射状にのびるスジはさきほど見えた太陽を表しているのだろうか。 「すばらしい! 神の名前がつく人はそういませんよ」 「あ、はい」 「ぜひ この先 2次オーディションへ進んでください」 「あ、、、、、はい!!??」
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