紫の花束をあなたに

あなたに

そんなことを考えながら、わたしは材料の入った箱を取り出した。
面倒くさがり屋さんなあなたのために、今回は、生花ではなく、ブリザーブドフラワーだけで花束を作るため、
形を崩さないよう、いつも以上に慎重にお花を扱わなければならない。

まるで割れ物にでも触るようにして、わたしはまず、
箱の中から紫色の薔薇を6本、そっと取り出した。
それらを、針金の部分を持ってまとめる様にして、花束の中心となる部分にする。

針金を曲げたりして、バランスを整えた後、
今度は、白いライラックの花を取り出して、薔薇の周りを囲う様に配置し、針金を目立たなくさせる。

大方束ね終わった後に、わたしは少し体をのけぞらせて、遠目に全体像を確認した。
白いライラックが、存在感のある薔薇をより引き立てている。

思っていたよりも華やかな印象に満足したわたしは、
周りを引き立ててくれる役割のお花、紫のライラックを取り出した。
わたしは、ライラックの中では紫色が一番好きだ。
だってあなたの色だから。

頭に、この花束を手にし笑っているあなたを思い浮かべながら、
まるで、中心の薔薇達と白いライラックを包み込む様に、紫のライラックを配置した。

それを姿見の前へ持って行って、最終のバランスを整えたら、
ワイヤーで花束の根元をきつく固定し、
お花のワイヤーの長さを揃えて、簡易のカバーを被せ、専用の台座にのせた。
そして最後の仕上げに、白い包装紙で、花束を優しく包み、同じ色のリボンを結んだ。

ようやく、完成だ。