女同士なんてろくな会話しない

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「だって、テレビや雑誌の写真なんかでも、男性の乳首は肌と同等か、咥内と同じような扱いで別段隠されもしないじゃないですか。女性の乳首はまるでゴルゴーンの瞳かと言うほど厳重に隠されるというのに。男性のメディアへの人体の露出秘匿優先順位で言うとすれば、一位は不動の生殖器だとしてですよ? え? なら二位は鼻の穴(鼻の穴を被写体にしたグラビアなんてないでしょう?)三位は脳味噌や(はらわた)ってことになりません? 女性のそれと全く同じ構造、同じ形状をしていながら、世間での男性の乳首の扱いはぞんざいでまるで皮膚以下かのように見ていて感じるのです。アニメや漫画でだって男性の乳首ってしばしば省略されがちなのに対して女性の乳首は性的に過剰描写されがちで、省略されるどころかまるで至宝の宝とでも言いたげに衣類の上からでも分かるくらい存在だけを主張させていることだってあるじゃないですか。これって乳首へ対する立派な 差別だと思いませんか。肌の色や性別、人種や信じる神への多様性を受け入れ、世の中段々と差別の少ない世界になってきている現代においてですよ、これほど根深い差別って他にありますか。」 それは某日某所の居酒屋の一室での某女子会に集った女性4人それぞれが十分に酒を入れた深い時刻、開口一番に乳首という議題を持ち出した彼女、櫻子により突然始められた世の『乳首格差』を議題に持ち上げた弁論大会であった。 勿論そこにおいても熱弁を震ったのは開口一番に「乳首」とその麗しく瑞々しい唇に乗せた櫻子である。 彼女は並々ならぬ乳首への愛で溢れていた。 接種した酒種にもよるであろうが、普段学園においても優秀の二文字から遠く離れたことがない眼鏡の乙女であった。 そんな麗しの彼女が魅せるレンズの奥の瞳を熱っぽく煌めかせ全世界の乳首の幸せを願いながらハイボールを煽る憂いに満ちた横顔なぞは、見た者全ての心を奪うかのような蠱惑的な美しさがあった。 「櫻子さんは間違ってる。」 意義を唱えたのは櫻子の向かいに座し本日三杯めにもなる芋焼酎のグラスを干した明石(あかいし)だ。 「それは、どのようにまちがっているの?」     
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