女同士なんてろくな会話しない

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「ああ! 明石さん、何て残酷なことを言うの? なんて、なんて可哀想な子達(シーツ)なのかしら。ベッドマットに敷かれ、男女の営み(櫻子はこの言葉を、数多ある行為を指す隠喩的な言葉の中で、最も清らかで崇高な隠喩であると思いこんでいるらしかった)の最中もみくちゃにされるのをじっと絶えていたというのに、生きたままベッドから引きはがされて女性の乳首を隠すための当て布なんかにされるなんて。そんなおぞましいことを哀れんでいるくせに、貴女の主張はそれじゃあ反対だわ! あべこべよ! だって、乳首が自由であるべきなんて…それじゃあ、今の乳首差別主義社会に眼をつむるのと同じ事よ。貴女はベッドから引きはがされるあの子(シーツ)の悲鳴に眼を瞑っているだけだわ、自分の乳首可愛さにあの子(シーツ)を見殺しにしているだけよ!」 続いて櫻子までもが、わっとその場に突っ伏しておうおうと泣き始めた。 その横に控える私は、ちょうど店員が持ってきた四つのグラスに注がれたよく冷えた水を受け取り、それぞれの乙女達に分け与えた。 横で泣き崩れたままの櫻子にも、ひやりと透き通った櫻子の瞳のように濁り一つない水をそっとその手に握らせようとしたが櫻子の心は深く悲しみの淵に沈んでしまって、とてもそれどころではなかった。 「嫌よ! 私、水なんて飲みません。ちょっと、ハイボールを持ってきてちょうだい、うんと濃くしたものよ!」 私の手を両手で押しのけ、尚も泣き濡れる明石は全てに絶望したかのような表情で、悲しみに瞳を心細く揺らめかせながら店員にすがりついてすぐさま使いに出した。     
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