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「櫻子さんも、明石さんも、乳首への愛情は等しく、同じよ。それに、愛情は競い合うものじゃないわ、分け与えるものなの。だから櫻子さんは櫻子さんの想うまま、明石さんは明石さんの想うまま精一杯乳首を愛してさしあげればいいのよ。すてきじゃない、こんなに近くに、心に同じ清らかさを宿した唯一無二の親友ともいえるお友達がいるんですもの。二人のそれは喜びの涙にすべきよ。」
マグロをすっかり咀嚼し終えると、子猫が鳴くような甘い声の麗子が泣き崩れてしまった二人に平等に喜びに満ちた微笑みを向けていた。
「麗子さん……」
「ああ、なんて胸を打つ言葉なのかしら麗子さん! 貴女の言葉で私すっかり心が勇気づけられたわ! もう本当に、貴女にキスしてしたいくらい! よろしくて? その可愛らしいおちょぼ口にキスをしても?」
「まあ、櫻子さんたら狡いわ。麗子さん、私も貴女の唇にキスをさせてちょうだい。」
麗子の言葉は櫻子と明石にまるで雷にでも撃たれたかのような衝撃を走らせた。
彼女らの憂いた美しい顔には見る見る内に喜びの泉が沸きだし今にも光り輝かんばかりであった。
明石と櫻子は二人で半ば競い合うようにして麗子の左右の隣に陣取り、艶やかな黒髪を肩まで垂らして知的な顔立ちで、肉付きのよい珠のような肌を惜しげもなく覆い隠すスウェットに包まれた麗子の優しさに満ちあふれた微笑みを熱っぽく見つめた。
二人の瑞々しい唇が、麗子のふっくらとした唇に触れようと近付いていく艶めかしい光景を、私はただ見つめていることしかできなかった。
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