女同士なんてろくな会話しない

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美しい憂いと密やかな喜びに頬を紅潮させて、三人の柔らかな頬同士が触れ合って、三人の体は柔らかく絡み合っていく。 「ああ!」 私は思わず声を上げて飛び起きた。 辺りを見渡す私はたくさんの汗をかいて、自室のベッドで寝ていた。 「夢……」 妖艶とも言える美しさを持った絶世の乙女達、櫻子も明石も麗子も、私の友人には実在しない。 呟いた私の唇は震えていた。 起きあがったベッドの枕元には、私が昨夜睡魔に誘われる瞬間までにやにやと眺めていた雑誌があった。 その雑誌の見開きには、私の嗜好する俳優の上半身裸のグラビア写真が大きく掲載されていた。勿論、乳首は隠されていない。 「夜遅くまで乳首を眺めてしまっていたからあんな破廉恥な夢を見たのだ! そうに違いない!」 私は羞恥心のあまりわあっと枕に伏せった。 部屋の外では、母が「あんた今日学校でしょう! 速く起きないと遅刻なさるわよ!」とけたたましくドアを叩いていた。
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