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私達家族と祖父母て買い物に行った時だ。大きなショッピングモールに買いに行ったのだが、そこにはキャラクターの形をしたバルーンがあった。幼い私なら、そこに駆け寄りぎゅーっと抱きしめたり、握った拳で殴って遊んだだろうものだが、流石にそんな年ではなかったので、家族と一緒に通り過ぎようとしていた。祖母は私の前に歩き、祖父と二人で歩いていた。ゆっくりとした歩み。手には緑や赤といった派手な色合いの萎れた鞄を下げていた。コンビニでもらうビニール袋のように薄く、派手な色合いも使い古しているせいか、黒ずんでいる。
その祖母の背中は私達家族から次第に離れていった。気づいたときには祖母はバルーンの前に立ち、皮膚と骨だけになったかさかさの手でキャラクターを撫でていた。背中をさすり、次には励ましているのかのように背中を叩く。
ーーおばあちゃん、何してるの?
いち早く気づいた私は祖母の手を掴んだ。祖母は虚ろな目をしてこちらを見上げて、頬を膨らませ、そうして私を認識したのかすぐに朗らかな微笑を浮かばせた。
背中に手を回すと小柄な体躯がつぶさに体感出来た。
小さな頃思っていた祖母は体躯が大きく頼もしかった。近くの公園や銭湯に出かける時の祖母の手はすべすべしていたが、私の手は滑り落ちさせないぐらいの握力はあった。
私の指と祖母の指を絡ませると、祖母の細っこい指が弱弱しく握り返してきた。私は手を引き、両親や祖父のもとに戻ったが、あの時の祖母が祖母ではない誰か分からない全くの他人になっていたことを、強く記憶している。
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