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写真を撮った後、私達はいつもの銭湯に行くことになった。祖父母の家により、振袖を祖母や母と一緒に脱ぐ。後は着せた通りの手順を辿った。祖母に背中を見せる。背中の帯は大きな縦結びになっており、見えないながらも超大作なのが伺える。巻きついた金と黒の帯を、名残惜しくも母と祖母がゆっくりと解いていく。途端にゆるくなる腹回りに私の口からは息が自然と漏れでる。帯をとると残りは振袖だったものの残骸だけだ。細い一本の紐を解いて、振袖の前がはける。そこからは私服を脱ぐ要領で、袖からするりと手を出して丁寧に丁寧に振袖を脱ぎ、ハンガーにかける。
私服に着替えると、自身の化粧や髪の結い上げが不似合いになり、祖母の隣に自然と立てた。
ーーお嬢さん、もうきつくないでしょ。
祖母の微笑みは変わらない。飾りたてるのが苦手な祖母は普通の私の方が親しみやすいのか、振袖を着ていた時より朗らかに喋りかけてくれる。母はそうですよお母さんと、乗ってきて、珍しく銭湯へ行くことを提案した。
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