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お酒を呑みつつの祖父と両親の会話は楽し気だった。それを聞いて私の心に温もりが広がっていくように感じた。私が眠ってしまったと勘違いした祖母は次第に爪で背中をかくのではなく、指の腹で背中をなで始めた。こそばゆいそれは何かの文字を書いているよう。私はその漢字を知らなかったので首をひねる。
未だにあの漢字が何かは分からない。秘密の暗号のように背中に刻み付けられて、大きな物事をする時背中を押してくれる。
時としてその物事は悪いものだった。
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