第三章 灼熱の一夜

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 それでももう我慢できない。これがどうしようもなく恋だってオレは気付いてしまったから。 アンタをめちゃくちゃに愛したい。  たとえそれが理不尽だとしても。溶けてしまうような愛撫を与えながら、明は雅を追い詰めていった。 「はっ……んっ……明さん……オレ……こんなの……恥ずかしい……」  与えられる愛撫に反応して女のようにわななく自分に、雅は恥じらいを見せた。 「……ここにはオレとアンタしかいないんだから………もっと乱れてみせてよ?男だからとか女だったら…とか……どうでもいい。オレはアンタと………ひとつになれたらそれでいい」 「……………んっ」 「オレは………アンタをものにしたい。それだけだよ」  明はそのまま、雅の両脚へと腰を沈め、己の楔を雅の体に打ち込んでいった。 「…………ッ!!」 「雅……雅……力を抜いて、オレに全部預けてよ」 「あっ……ああっ……やだ……もう…赦して」 「もっと……力抜いて……アンタと深く繋がって……一緒に……イキたい……」  痛みと苦しみを伴いながら結ばれた行為は、シーリングファンが申し訳なさ程度に回る、蒸し暑いセピア色の部屋だった。 古ぼけたハードカバーの本と、机に散らばったままの小銭。快楽のままに目に入ってくる風景は、どこか色あせた懐かしさがあった。  外気は日没を過ぎてもまだまだ蒸し暑く、汗と貼りつく髪が煩わしい。 真昼の雑踏のなかで、自分たちの距離が少しづつ縮むのを、二人は体で確かめ合った。 「あっ…………あっ……イイッ」  無我夢中で快楽を追えば、甘い呻きが何度も漏れてしまう。 汗ばむ背中に手をまわし、 しがみついて、 しっとりと湿ったシーツを肌に感じて、  明は何度も「彼」を求めてきた。 ただただ、快楽だけに溺れる二人。 もしかしたら、流されただけ? それともただの戯れ? だとしても、今だけは身も心繋がっていたい。 好きだから… 離さない…。 もっと欲しい…。
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