第四章 秘密

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「明日、時間が出来たらメシでもどう?」  着替えを終えた明が雅に微笑みかけた。 「明日は…取引先をちょっと回るだけですから、早めに仕事も終わりますので是非!」 「じゃ、決まりね。7時に新宿で待ち合わせしていい?」 「わかりました」  玄関先でおやすみを兼ねた、またね…のキスを軽くした。 抱きしめたら、その腕をすり抜けるような人。 それなのに、抱き合って愛し合う最中は燃えるように体が熱くて…。  明さんのことをもっと知りたい…。 本当に、彼は作家なんだろうか? 雅はミステリアスな彼の周辺が気になり始めていた。 「まいったな…オレ……すっかり明さんにイカレてる…」  玄関の扉を閉めて見送った後、雅の高鳴る胸は静まることもなく、胸の内から激しく打ち返してくる。  その夜、明と再会したことで、なかなか眠れずにいた彼だった…。 ************ 「密売組織の中堅クラスが国内に入ったのは確かってこと?」 「……ええ、私たちが追っていた連中とは違うみたいだけど…。でも、泥を吐かせたら何か出てくるかも」 「そう願いたいねー」  雅と別れたあと、明は滞在しているホテルの一室で、彼の国で一緒だったルミと話していた。 「ところで…」  彼女は少し茶目っ気な顔で明を見た。 「…あなた、観光で来ていた例のリーマンとは再会したの…?」 「…ッ!」  ルミの鋭い一言で明は普段の姿からは想像出来ないほどに動揺し、口にしていた水割りを吹きそうになった。 「……いきなり茶化さないでよ」 「なぁんだ、やっぱりもう会ってきたんだ?どおりで機嫌がいいのね?さっそくご無体をはたらいてきたような…」 「お前ねぇ…」 「…でも、アキラ…」  ルミは急に真剣な顔になった。
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