第四章 秘密

9/12

90人が本棚に入れています
本棚に追加
/103ページ
 店に入ると、明は店員に新宿の街が一望出来る静かな席を頼んだ。 幸いにも平日のせいもあって、展望の良い席を店員が案内してくれた。 席に着くなり、雅は明を睨むように真剣な顔つきになる。 「…明さん、さっきの…どういうことですか?」 「…やーねー、いきなりそんな恐い顔しちゃってさー」 「誤魔化さないでくださいっ!そんなふうに誤魔化したって、あと少しで殺されていたのかもしれないんです!!いくら鈍いオレでも判ってるんですよ!?」 「…どういうことって言われたって、たまたま外人の通り魔がオレに襲い掛かってきたってことでしょ?あっ!案外、雅が狙われたんじゃないのー?」  どこまでもシラを切る明に対し、雅はバンとテーブルを両手拳で叩いた。 大きな音でほかの客の視線が、明や雅のテーブルに集中する。 「ほらほら…アンタが大声出すから、みんなビックリしちゃってるしー」 「……オレ……あなたの邪魔なんですか?さっきも、突き飛ばされたし…。」 「……………。」 「オレ、足手まといなんですか?あなたの助けになれないんですか?オレ、そんなに頼りないんですか?オレ、あなたの何なんですか?」 「やめよ、雅。これから美味しく肉食べたいじゃないの…」 「答えてくださいっ!!」
/103ページ

最初のコメントを投稿しよう!

90人が本棚に入れています
本棚に追加