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教卓・クラスメートの机、黒板、窓は、全てピカピカ。床は年季もあるから、ピカピカとまではいかないけど、塵一つ残すことは、許していない。我ながら、完璧な仕上がりだ。
始めに、私に掃除当番を押し付けて帰った女生徒の一人が言っていたように、私は、人が引くくらいの綺麗好きだ。潔癖とは少し違う。自分が綺麗にしたものを眺めて、満足感を得るのが嬉しいだけ。
だけど、私は平安時代だったら美人だったのになというような、まん丸ほっぺに細目の顔。おまけにこないだの健康診断で、『BMI肥満レベル一』と出る小太りだから、『デブスの癖に綺麗好き』だなんて、いつも言われる。
まぁ、あの人たちは、痩せてて、いつも小綺麗にしている『ザ・女子』みたいな人たちだから、私みたいなやつは目障りなんだろう。世知辛い世の中だ。
だけど、いいこともある。
あの人たちは、自分自身は、とっても綺麗にするけど、自分たちが使う場所を綺麗にすることには無関心なので、掃除はやったとしても、いつもテキトーだ。正直、イライラする。だけど、私に押し付けてくるから、私は思う存分、一人で、掃除を楽しむことができる。この時間は、誰にも、邪魔されたくない。自分のペースで綺麗になっていく喜びを、噛み締めたい。
満足した私は、帰る準備を整えると、勢い良く、教室の後ろの扉を開けた。
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