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私たちのアトリエで
咥えていた紙巻煙草を指に挟み、口に中から紫煙をゆっくりと吐き出す。外気に晒された毒霧は僅かな間空中で停滞し、開け放たれた窓から吹き込む風に浚われて何処かへと消えていった。
私は立ち上った煙が消える様を一瞥するに留めると、元々見ていたものへと視線を戻す。
木製の年季が入ったイーゼルに載せられたスケッチブックと睨めっこしながら百面相を繰り広げている彼女。観察するでも声を掛けるでもなく、燻ゆる煙のカーテン越しにただその姿を眺め続けてた。
私と彼女の関係を表すならば、親友という言葉が最も適当だろう。何せ交友し始めたのは高校に入学したその日であり、今年で14年の付き合いになる。
「始めまして!あの、あの、お話してもいいですか!?」
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