虫唾の走る常識様

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キスって、ゴムみたいだなって思った。 無難に近い高校に入って、適当に勉強して、その頃は友達はみんなもうとっくのとうに女の子になってて、化粧をして、可愛い服を着て、とってもおしゃれで可愛くって。 そんな風に女の子になるのがとっても上手な友達と買い物に行って、私も女の子になって。 とってもドキドキした。胸がキュウキュウと締め付けられて、ようやく気がついた。これが恋だって。 私はこの感情はきっとアイツのことを考えておしゃれをしているからだって勝手に答えを出して、その日買った初めての女の子らしい服を着てデートに行った。 高校生にもなればそりゃあヤリたいさかりって奴なんだろう。そういう雰囲気になったのだ。 私の部屋で都合よく二人きりになって、隣同士座って手を絡ませた。でも、私の胸は何も言わなかった。 無意識のうちに時間だけが過ぎていく、少し汚れた天井を見ながら軋むベットの音を聞いたじっと耐えた。少しずつ、少しずつ女になっていくような気がした。 全てが終わって、アイツは私の頭を撫でた。その時、ふと思ったんだ。気持ち悪い。 私にとって結局最後までそいつは友達から抜け出せなかった。一緒に居れば楽しいし笑ってまぁ幸せといえばそうだったろう。     
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