虫唾の走る常識様

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だけど、デートだって言ってもピクニックが楽しみな子供見たく眠れなくなったりしなかったし、ウキウキして朝の準備に1時間もかかったり、顔を見て、胸が跳ねることも締め付けることもなにもない。 あの日、あの可愛らしい女の子と買い物に行ったあの日と違って…… 高校生になって、突然自分にそんなことを突きつけられた。いやいや、急に言われたって受け入れられないよって。 なにかの間違いだって、私はちゃんと彼氏のことが好きだって言い聞かして、そうやって必死になればなるほど辛くなって、自分を責めるのが嫌になって、気付いた時、私は何かが切れてしまった。 気持ち悪くなって、今日食べたものを吐き出した。どうしたって、私には無理だった。背中を摩ってくれた彼に別れを告げて、私はようやく自分を認めることができた。 私は、女が好きだ。 友達と話しているときとても楽しくていつまでも続けていたくて直ぐに終わってしまう。 胸が高鳴って、たまにふらっといい匂いがするものだから心臓の音を漏らさないようにするのが大変だった。 どうしようもないぐらい好きで好きで、私の初恋は…… だって高校生だ。まだ思春期の延長線上みたいなものでしょ。気持ちを抑えられなくなるのは当然じゃない。 放課後に呼び出して、改まって何?って、なんだか告白みたいだねって。 家に帰ると、母がテレビを見ていた。何故かそんなありきたりな光景をまだ鮮明に覚えている。     
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