夏、一人と一つ

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しかし部室の鍵は顧問に内緒で合い鍵を作ってあったのでそれは問題ないのだが、 懸念は彼女にどう渡すかだ。 いや、そもそも彼女はここに居場所を見いだしているのだろうか? ただ都合が良いから居るだけであって特段愛着があるとは限らない。 それ以前に彼女は部活動とは何の関係もない生徒だ、 夏休み中に閉め出したからと言って私に何の責が生まれるというのだ。 頭の中で色々な考えが巡り回る。 写真ならシャッターを切るだけで結果が分かるのに、 兎角、人の心は分からない。 しかし、部室で見る彼女の姿はいつも独りで寂しそうだった。 それは私の勝手な感情ではあるが、そう感じる心は信じたかった。 なに、久々に自分から他人に関わるものだから少々気後れしただけだ。 それにもうこの部室には彼女の席がある。 まぁ、理由なんてそんなものでいいだろう。
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