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男は地面をみてくつくつと笑った。
「一体いつになったら俺は元の世界に戻れる? 十六歳で異世界に召喚され二年間ずっと魔王やら国を助けろやら、世界を救ってくれやら、魔王と一緒に暴走した都市を倒せやら。数えきれねーぞ、勇者だって疲れるときゃ疲れるんだ。それを五十回もやったんだぞ? ああ? 死んでみるか国王」
その場にいた兵士たちが武器を構える。全員がこっちにじりじりと寄ってくる。
「もういらん、そんなやつ殺してしまえ」
でっぷりと太った国王がわめいた。
彼は一歩も動かない、目をぱちんと閉じただけで回りにいる兵士たちが吹き飛んだ。
「ステータス表示」
勇者はステータスを表示させた。
龍土〈リュード〉 年齢18歳 性別男
攻撃力99999
防御力99999
知力99999
魔力99999
運99999
スキルが多すぎて表示されません
アイテムボックスには何も入っていない。
それを見たリュードは悲鳴を上げそうになりながらも。
「やっぱか、別な世界に来るたんびに最強装備がなくなる。本当にいらっとくるね、あるのはズボンだけ? 笑っちまうぜ、ちなみに俺様はどの世界でも無殺生を心掛けている。俺様はベジタリアンだ。動物はころさねー虫もモンスターも人間も、そして魔王も悪い奴も殺さない、痛みを与えるだけだ。俺のスキルの関係上殺すことができねーようになってる」
男はにやりとした。
そのスキルの名前は。
【絶対手加減】【本気で殴ってすごくとんでもヒットポイントは絶対に残るようになっている】
それがリュードの覚悟というやつだった。
国王はぶるぶると悲鳴を上げそうになっているにもかかわらず。リュードはにこりと笑った。
「俺様もそんなにわるかねぇ、国王よ独裁をやめるならぶっ飛ばさねー、遠い国でさまようのとここで会心するどっちだ?」
これもスキル。この世界の知識を空気のようにアップロードしている。
彼のいた世界のインターネット通信のようなものだ。
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