115人が本棚に入れています
本棚に追加
/104ページ
とセバスダンが説明してくれる内容はリュードが考えた王国の構想に合っていた。
国のすべての知識が集まりつつあった。
スラム外の人口は数千を超える。奴隷から逃げてきたものばかり、盗賊ギルドというものがあり、盗賊ギルドに盗んできたものを売ると金にしてくれる。
奴隷商人もおり、彼らはスラム街に逃げてきた奴隷をまた捕まえたり、世間知らずな人を誘拐して奴隷を商品として売りさばく。
盗賊ギルドと奴隷商人をつぶすこと、それが最初の課題だ。そうしないといくら廃墟のスラム街を建設したとしてもすぐに悪の都になってしまう。
リュードにとって正義とは、すべての平和をつかみとるという美学の塊でもある。
「セバスダン、奴隷たちを王宮で匿う、奴隷商人を吹き飛ばしてくるから、くるか?」
セバスダンはにこりと笑った。隣にいるミルもうなずいた。
ちなみにあやしいドワーフがずっとこっちを見ていた。
悪い奴じゃなさそうだと判断し、さっそく、ドワーフの目の前に移動した。目にも留まらぬスピードで。
「うおおお」
「俺様になんかようか?」
「いや、さっき城の王座のところからあんたの声が聞こえて、わしじゃ力にならんか?」
リュードは彼を眺めながら頷いた。
「よし、いいだろう、商人で、この島国の外から来たようだし、ドワーフ鉱山かぁ、この世界にもやはりドワーフはいたか、奥さんがいて、子供が二人か、一人が奴隷に売られてそれを探してここにきたと、大変だねぇ」
ドワーフは恐怖の表情を浮かばせてこっちを見ていた。
「あ、あんた何者だ」
「この世界のすべてを一年くらいで理解してしまう最強勇者様だぜぇ」
ドワーフは希望の光を見つけたような笑顔をこっちにふりまき、右手を差し出す。
「よろしくな」
「ああよろしく」
ここに執事と獣人とドワーフと最強勇者のパーティーが出来た。あとは盗賊ギルドと奴隷商人を吹き飛ばし、この国をハッピーにすることが最初の目標となった。
ちなみに出発するまえに野菜たっぷりのベジタリアンサラダを食した。仲間たちも野菜をむしゃむしゃと食った。ミルは物足りなさそうだった。
最初のコメントを投稿しよう!