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「すみません」
読書をしていたら突然声をかけられた。市民図書館の受付っていうのは大抵暇なもんで、僕はこの日も本を読んでいた。
こんなおじさんではあるが僕のお気に入りは恋愛小説。いま読んでる本は学園もので、メインの男の子がちょうど胸キュン台詞を放つところだった。
声をかけてきたのは中学生くらいの女の子で、何か物言いたげにこちらを見ている。
おじさんが恋愛小説読んでるなんて恥ずかしすぎる。僕は本の中身がバレないように慌ててそれを伏せた。
「なにか?」
平然を装って彼女に聞くと、彼女はか細い声で僕に尋ねて来た。
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