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受験やら初めての恋やらで、鏡子とのおたのしみ便はしばらくストップした。
鏡子から鉛筆が送られてきたのが最後だったから、止めてしまったのはわたしだ。
しかし、普及し始めたばかりの携帯電話を手にしていたわたしたちは孤独じゃなかった。
互いの恋の進捗を報告し合うメールが、幾度も空を飛び交った。
図書館でわたしを見かけて以来気に入っていたという彼は、色素の薄い髪と男の子にしてはきめ細かい肌を持った素朴な人柄の男の子だった。
県下トップの高校に通い国立理系を志望している彼とわたしが会うのは、専ら図書館だった。
私立の中高一貫校に通うわたしにとっては、初めての外部受験だった。
彼のことは親には秘密にしたけれど、燃え始めたばかりの幼い恋の火を、誰が消し止められるだろう。
第三志望の私立大に補欠合格できただけでも奇跡と呼べるかもしれない。
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