知的な優等生君

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注文された料理を待つ間、私は年下君と向かいあってお互いの恋愛について話した。お腹は減ってるけど、楽しくてそれどころじゃない。 自然に笑える。私の素の顔に本当の気持ちを素直に言える事が私には嬉しかった。恋愛に臆病で相手に嫌われないようにしていた事が相手に伝わり重くなっていたのかもしれない。 「一緒にいて麻咲さんの良い所も悪い所も何となく見えてきました。良い所は、人をよく見ていて感じた事を素直に褒める事です。麻咲さんといるとホッとするのは柔らかい空気に包まれているからですよ。」 「お母さんみたいと言われた事があります。」 「子供が母親に話を聞いて欲しい感じが似ているからですよ。麻咲さんなら親身になって聞いてくれそうだから安心すると思います。なので、お母さんみたいってのは悪い意味では無いですよ。話を聞いてくれるのは良い事ですから。」 「そうなんですね。」 三枝さんに誘われていった食事会の席でもそんな話が出た事があった。自分の目当ての顔で無い異性の話を聞かないし、話題を振っても友達と二人で楽しく話すだけの30代女性に説教をした年上の男性がいた。 「悪い所は、自分に自信がない、恋愛に臆病だと言うところです。自分を好きになれない人が相手に好きになってもらうなんて矛盾してますよね?」 胸に痛い程弓矢が刺さった。私の欠点を見抜いている。私は褒められるのに慣れてないし、胡散臭く感じてしまう。褒められた事が無いからってのもあるから素直に受け止められない。石を体に乗せられたような重さを感じる。 「…ダメージ大きすぎました。」 「それも含めての麻咲さんがいるんだって事ですよね。改善する事は出来ます。美味しいもの食べて気持ちを切り替えましょう。人は誰でもプラスとマイナスを持っていますからね?」 会ってものの数時間で、私の事を観察し見抜くなんてこの年下君も人間観察が好きなんだなと確信した。人に興味があるのは素晴らしい。今までに出会って来た人は、私のどこをみて一緒にいてくれたのだろう? 「乾杯しましょうか?」 「そうですね。じゃあ、これからの二人の未来に…乾杯。」 ん?今、さらっと二人の未来って言ったよね。それって、どういう意味なの。まさか、あれ?脳内会議の時間が来た。
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