5人が本棚に入れています
本棚に追加
私の仕事は、恋愛ゲームの内容を提案してプレゼンで発表しそれが通ると開発にかかるという仕事をしている。
恋愛にどっぷりはまったわけでは無い私が恋愛ゲームをプランニングだなんて笑えるかもしれない。
「何だ、またため息ついてるのか?」
「次の企画案で悩んでるのと、来月の誕生日の事でため息ついてるだけ。」
隣の机で、私の方に向いてニヤニヤしているのは同期入社の首藤海斗(すどうかいと)大学からの腐れ縁。
「企画案はともかく、来月の誕生日もまたお一人様更新で哀しいよな。」
「クリスマスもお一人様確定よ。そっちはどうなの?」
「聞くなよ。仕事が生き甲斐さ。」
パソコンとにらめっこしてもアイディアは浮かばない。仕方ないので、私なりの方法で解決する事にした。
「眉間にシワがよる程案に詰まってるみたいね?外でコーヒーでも飲んでリラックスしましょ。首藤君、田神さんかりるわよ。」
うちの課の美人プログラマーで上司の三枝夏蓮(さえぐさかれん)さん。私にとっては良き上司であり相談役で、大学の先輩。
「最近、恋してないでしょ?顔が老けてしまうわよ。女子力低下中ね。いい恋しなさい。」
「と言われても目ぼしい相手がいません。」
「そう言うと思った。麻咲(まさき)は、昔からいい男を寄せ付けないタイプだものね?それじゃあダメよ。だから、いい所に連れて行ってあげる。」
夏蓮さんに、手を引かれて着いた場所は喫茶店。誰かが先に来ていて席に座っていた。
「三枝さん、お久しぶりです。」
爽やかや好青年タイプの男性がいた。見た目の歳は私より年下。スーツが似合う営業マンと言った感じに思う。
「川崎君、こっちに転勤になったって聞いて嬉しかったのよ。だからね、私の可愛い後輩の彼女とタッグを組んでアプリの企画を考えて欲しいの。」
「初めまして、三枝さんに仕事でお世話になって以来仲良くさせていただいてる川崎亮廣(かわさきあきひろ)です。仕事は、ゲームシナリオライターです。」
「川崎亮廣さんて、あの有名なゲームアプリのドラゴンファンタジアのシナリオライターさんですか?私、プレイして…」
「じゃあ、後は二人に任せて私は仕事に戻るわね。」
三枝さんは、私と川崎さんを喫茶店に残して帰って行った。もしかしてこうなる事を想定しての確信犯?
最初のコメントを投稿しよう!