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サラッと悪びれる様子も無く言ってしまう恋愛上級者な彼に私はノーとは言えなかった。恥じらいながらも手が震えながら彼の口に一口サイズに切ったパンケーキを運ぶ。
でも、次の瞬間手首を捕まれて彼の口に一歩前で届かなかったパンケーキが入った。
「緊張してた様なので手伝いました。」
「…間接キス?」
顔面から火が出そうなぐらいの赤面状態。年上の余裕の無さとこいいうシチュエーションに不慣れな恋愛経験ゼロに近い初心者の私が年下君に振り回されている。
「後で、僕のもあげますね。」
「お手洗いに行ってきます。(私には刺激が強すぎる。感情リセットと、COOLな、自分に切り替えて熱を冷ますしかないわね?)」
「亮廣、やり過ぎだぞ。」
「そうですか?僕は、彼女に本気ですから。ストレートなだけですよ。」
「初な彼女には刺激が強すぎだ。その内、冷められるぞ?」
50代のイケてるおじ様は、コーヒーをカップに注ぎながら年下君に忠告していた。私は、その頃トイレで化粧を直して顔の熱を冷ましていた。
「今回の彼女は、僕の運命の人ですから慎重にかつ責めて行きますよ。大事な人ですからね?」
「恋愛を楽しむのはいいが程々にしておけよ。」
「はい。忠告ありがとうございます。」
キリッとなり、スイッチを切り替えて私は席についた。目の前のフルーツたっぷりワッフルとブレンドコーヒーのいい香りに鼻腔を刺激されながらも平常心を保っていた。
「フルーツ嫌いな物ありますか?」
「ブドウとマンゴーは苦手です。」
「口を開けて下さい。」
恋人シチュエーションを演じているのか、ガチなのか区別つかないぐらい自然に振る舞う川崎さんに私の心臓はバクバクと心拍数が急上昇中で音がばれそうだった。冷静になれるわけないじゃないの!
「あの、これ以上は周りの目も気になるので止めてください。」
「分かりました。嫌な思いさせてしまいすみません。」
「いえっ、大丈夫です。このシチュエーション、恋愛ゲームの内容として演じてくれているだけですよね?」
「いいえ、僕なりの真剣な恋愛ストーリーですよ。演技なんて1つもありません。田神さんに真っ直ぐに向き合ってるんですよ?」
私は、赤っ恥をかいて恥ずかしさで死にたくなった。年上の余裕なんて全く無い。平常心なんてこの年下君の前では消えてしまう。
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