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練習時間はいつもより長く、参加者も多い。選手はほとんどが兼業なので、どうしても平日は参加人数が限られるのだ。総監督のロメオも金物職人だし、バルトのレギュラー選手も、普段はスポーツのインストラクターや警官やタクシー運転手などをして生活している。スペイン国内でも、カスティだけをしているスター選手はほんの一握りなのだ。
「カスティは人生の縮図だ。カスティ以外の人生を知らねえやつに、カスティが組めるわけがねえ」とロメオは言った。
練習当日、練習場所に姿を見せた冠木君の右足首にはテーピングが巻かれていた。少し引きずるような歩き方をしている。訊くと、広場でのセッションで傷めたのだという。大丈夫です、と彼は言ったが、ウォーミングアップの体操をしているときも、何度も苦痛に顔を歪めていた。
次の大会で披露する演目のひとつであるカテドラルを、ロメオは従来よりも人数の多いフォーメーションにしようと考えていた。具体的には、一般的な組み方より二段も高くする。三人塔が四つ増えるので、中段選手が十二人多く必要だ。つまり、中段の冠木君にとってはチャンスが増える。
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