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だが、六段目まで組みあがったところで、監督らしき男が大声でやり直しを指示し、塔は一旦崩れた。落ちてくる上段の選手たちを土台の選手たちの大きな手が受け止める。ピーニャは基礎土台であり、クッションでもあるのだ。完璧な勝利は完璧な防御のもとに成り立つという古代の兵法に従ったファブロソ伝統の考え方だ。
高速でピラミッドを組んだり崩れたりを繰り返す〈革新〉や、アンチャネータが塔の上で逆立ちする〈鯱〉、複数の塔の上を移動する〈尻軽女〉など、アクロバティックな技もあった。
二つの三段塔の上でそれぞれの頂上に立つ二人が向い合わせに組み合ってアーチのようなドススを作り、その上にアッチャカドーがさらにドススを作って、アンチャネータを乗せる〈大聖堂〉という大技を披露するチームもいた。
自由で創造的な空気が広場を支配していた。組み上げのリズムを取る太鼓やトロンボーンの音がひしめくように鳴り響いていて、その溢れるようなエネルギーに僕は圧倒された。
突然、冠木君は走り出した。向かっていたのは、これからピーニャを組もうとしているチームだった。その緑色のシャツのチームは、彼が入団を希望しているバルトだった。
冠木君は、多い時は百人を超えるというピーニャの、少しでも塔に近い位置に入り込もうとしている。
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