偉大なる旅路

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 所定休息時間を過ぎたチームから順にレースを再開しだすと、ガブリエラは焦った様子で、追いかけてきミランダに向かって「もう大丈夫よ、早く出発するわ!」と言った。  筆頭騎手の強い要望に根負けした監督は、予定より早く出発することを決めた。その日は休んで、次の日の早朝にマラガを出発した。順位は140位にまで落ちていた。  次の目標ポイントはグラナダ。予定では、バレンシアを経由し、十日以内にバルセロナを通過する。その後は地中海沿いに進み、約十五日間かけてミラノに到達する。  ガブリエラはハイペースでボルヘスを走らせ、グラナダに着くころに順位を八十五位まで上げた。もっと休ませるべきだというディエゴの意見を聞かず、次の日も、アルハンブラ宮殿を見学することもなく、休息時間があけるとすぐに出発した。結局、予定より三日も早くバルセロナに着いた。順位は36位だった。  だが、無理がたたったせいか、ボルヘスの脚はまた故障し、体調を崩して餌をあまり食べなくなった。元気をなくし、寝たきりになった。  バルセロナの公園で特別に許可を得て張られたテントのなかで、夜中もディエゴとミランダがつきっきりで看病にあたった。  ガブリエラが泣きながら「ボルヘスを助けて」とディエゴにすがった。 「大丈夫だ。俺にまかせて、君はホテルで休んでるんだ」     
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