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「運動神経や反射神経が人並外れてる。かしこいし、美人だわ。あの子は何にでもなれる原石なの」
「やけにあの子に期待するんだね」
「自分より才能のある若者を見ると、昔は嫉妬したけどね。もうそんな齢じゃないから」
ミランダは学生の頃から馬術や競駝、犬ぞりレースなどに参加するオールマイティの騎手だったが、国際大会での落馬がきっかけで負傷引退した。それ以来、馬はおろか駱駝にも騎乗していないという。幼いころからの親の指示で医学部を出て医師免許を取ったあとは、自分と同じマルチ騎手を育成する指導者の道を選んだ。
ガブリエラは彼女にとって原石以上の存在なのだろう。
結局、打ち明けられないまま、カンヌ、ニース、そしてモナコを過ぎ、いよいよイタリアに入国した。ボルヘスは道中にファンからもらったスカーフを首に巻き、小さなビクーニャの人形やリボンを首からぶら下げていた。ナンバープレートをくれるファンもいたが、ガブリエラがしっぽにつけようとしたのをディエゴが阻止した。
ボルヘスの順位は相変わらず30位前後だったが、後ろを走っていたライバルはどんどん脱落していって、残るチームはわずか150あまりだった。これからさらに故障する駱駝が増えてくる。トルコに着くころには100を切っているだろう。
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