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「分かった。
はるひちゃんが、そうしたいならそうしよう」
「……」
「結婚しよう」
「……」
無理やりに言わせたような、自分主導のプロポーズは、嬉しさよりも空しさだけを運んできた。
結婚を望んで、それが叶えられたはずなのに。
人生最大の幸せに向かうはずの私の心は、
ペンキをこぼしたみたいに、ぐっちゃりとしたブルーに染め上げられて。
行き場のない苛立ちの中に、ゆっくりと沈んでいった。
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