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ついこの前、ある本に出会った。 本といっても、偶々体調を崩して出かけた病院の待合室にあった子供向けの絵本。 本棚から見えるその表紙には透明なガラスのコップがひとつ描かれていて、それに目を引かれ何気なく偶然手に取り開いた。 衝撃だった。 それは子供向けの絵本だった。でも、それを書いた人がどういう人で、どういうことに悩んで、どういうことに感動して生きているのかが、なぜかわからないけど手に取るように僕には感じられた気がしたのだ。ただ、理由もわからず僕は待合室で涙が止まらなくなってしまった、体調悪いのもあったけど。 少なくとも、僕と同じように生きてる人がいたことに感動したのかもしれない。 巻末には彼の簡単なプロフィールと、あとがき、それから彼が書いた(らしい)詩が載っていた。 その詩は妙に綺麗な言葉でかかれていて、なんだか実感が湧かなかった。 それよりも、この人どんな人なんだろう、それだけが気になった。 病院から帰り、その人のことについてちょっと調べた。といっても、どうやらその人は大学の研究室を出たばかりの若手哲学者らしく、ネットに上がっている情報はほぼ何もなかった。色々、専門分野での論考で賞を取っていたり、その界隈では若い時から優秀な学者として注目されていたらしいけれど、出版された本は僕が偶々手にした絵本が初めてだったらしいし、ウィキペディアの来歴みたいに、ひととなりが分かるような情報はどこを探しても見つけることはできない。…ただ彼のツイッターアカウントはすぐフォローすることはできたが。 結局、ネットにあげられているその人の文章はいくつか読めても、その人自身がどんな人なのか僕には知る由もなかった。snsには、その人が撮った写真や、気になる哲学や評論の引用を用いた呟きが多く、本当に四六時中考え続けている人なんだろうな、ということだけはなんとなくわかった。 それで今日に至る。
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