37人が本棚に入れています
本棚に追加
トサ……
ベッドの上に亜砂を下ろし、今度はしっかりと布団かける。不意に僕の所へ来るくらいだ、何かあったのかもしれない。
僕は眠る亜砂の寝顔を見ながらそんな事を思って、なんとなく彼の頭を撫でる。
……よくわからないけれど、彼には幸せになってほしいな…。
そんな感情が、どこかから湧き上がって来て、自分で何様だとツッコミを入れる。
…僕もあと少し仕事したら寝よう。
そう思ってベッドから離れようと立ち上がる。
すると、
「………待って、」
寝ているはずの亜砂が、そう僕に話しかける。
僕は少し驚いて、彼の方を黙って見ると、
「…………キスして、」
と、亜砂は、薄く目を開いて、薄く口を開いてそう言う。
ドクンと一度大きく心臓がなり、僕はもう何も考えられず彼のいいなりになるように、寝ている彼の側まで行き、唇にキスを落とす。
柔らかい唇の肉感。ゆっくりとキスをして、少し離して、もう一度唇を合わせ、沈み込むように舌を絡ませ合う。
亜砂の手が、僕の頭を引き寄せる。食むような、自然なキスを数回交わして、また少し唇を離すと、パチ、と目が合った。寝起きの色気もあってそれはとてつもなく艶っぽい目だった。
「………起きてたの?」
「…今、起きた。」
「……ご飯食べる?」
「………食べない、…もうそろそろ行かなきゃで、。」
寝起きだからかずっとため口の彼は、僕の質問に少し首を振りながらそう答える。
最初のコメントを投稿しよう!