5.砂埃(風愉side)

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トサ…… ベッドの上に亜砂を下ろし、今度はしっかりと布団かける。不意に僕の所へ来るくらいだ、何かあったのかもしれない。 僕は眠る亜砂の寝顔を見ながらそんな事を思って、なんとなく彼の頭を撫でる。 ……よくわからないけれど、彼には幸せになってほしいな…。 そんな感情が、どこかから湧き上がって来て、自分で何様だとツッコミを入れる。 …僕もあと少し仕事したら寝よう。 そう思ってベッドから離れようと立ち上がる。 すると、 「………待って、」 寝ているはずの亜砂が、そう僕に話しかける。 僕は少し驚いて、彼の方を黙って見ると、 「…………キスして、」 と、亜砂は、薄く目を開いて、薄く口を開いてそう言う。 ドクンと一度大きく心臓がなり、僕はもう何も考えられず彼のいいなりになるように、寝ている彼の側まで行き、唇にキスを落とす。 柔らかい唇の肉感。ゆっくりとキスをして、少し離して、もう一度唇を合わせ、沈み込むように舌を絡ませ合う。 亜砂の手が、僕の頭を引き寄せる。食むような、自然なキスを数回交わして、また少し唇を離すと、パチ、と目が合った。寝起きの色気もあってそれはとてつもなく艶っぽい目だった。 「………起きてたの?」 「…今、起きた。」 「……ご飯食べる?」 「………食べない、…もうそろそろ行かなきゃで、。」 寝起きだからかずっとため口の彼は、僕の質問に少し首を振りながらそう答える。
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