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第2話:図書室での会話
初めて登校した日は、やっぱり緊張してい他と思う。僕はあまり社交的なタイプではないし、クラスにとけこむ、なんてことは半ばあきらめていたような感じがあったけれど、やはりどこかで意識していたのかもしれない。
「今日からこの学校に転入することになった城崎君だ。みんなよろしく」
担任の藤田先生が、僕をクラスの生徒に紹介してくれた。
「城崎亮といいます。よろしくお願いいたします」
とりわけ自己をアピールするほどの特技や経歴もない。しいて言えば、星座に詳しいことくらいだろうか。いずれにせよ、この場のコミュニケーションで役に立つような何かを僕は持ち合わせていなかったから、ただ軽く頭を下げることくらいしかできなかった。
「ああ、席はあそこ、月本の隣、空いてるよな」
――!?
藤田先生が指差した席の隣に座る月本と呼ばれた生徒を見て僕は驚かずにはいられなかった。月本葵は、昨日線路に飛び込もうとしていた女の子、まさにその子だったから。
「城崎、お前の席はあそこだから」
「あ、はい」
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