孤独と狙撃

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孤独と狙撃

『ヒィィィイイイ―』  窮屈なテントの中で目が覚める。  耳に針を入れるような高い音。  『ウーーーーーーー』  頭を揺さぶる警告音。  最初の音が「奴ら」が天を裂く音。二つ目がそれを民に知らせる警告音だ。  結崎ヒューガは黒いボサボサの頭を掻きむしった後、枕元に置いてあった長い布袋と武骨なリュックをつかみ取り、テントの入り口に垂れ下がったマントを羽織って外に出た。  テントは昨夜見つけた廃墟の中に設置してあったのでテントの外に出ても周囲はまだ薄暗い。ヒューガは瓦礫に足を取られぬよう気を配りながら、それでも急いで廃墟の中から飛び出した。  差し込む日差しが寝起きの眼球に痛む。慌ててマントのフードを被り、足元の砂を眺めて目を落ち着かせる。 光になれた後で辺りを見回す。 砂と岩しかない飾り気のない地面。その上には明日にはつぶれていそうな廃墟が立ち並ぶ。 危険も無いが平和も無い風景。 ヒューガは周囲の安全を確認し、そして、空を見上げた。    澄み切った空の中央を赤い炎を纏った塊が落下していくのがはっきりと見える。 あれは「奴ら」の仮の姿。「奴ら」が本当の姿を見せるのは地上に落ちてからだ。     
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