ゴーストライター

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「野々瀬さん。まだいたんですか…」 和美が電話を切ると魚住がオフィスに戻って来た。 「魚住君…。こんな時間にどうしたの…」 和美はFAXの記事を積み上げられたファイルの間に挟んだ。 「近くで飲んでたら、電車無くなっちゃって…。タクシーで帰るのも何だし、会社戻って仕事でもしようかな…って」 魚住はコンビニの袋を机の上に置いた。 「これは朝飯ですよ…」 そう言ってパソコンの電源を入れた。 「そんな事してると本当に体壊すわよ…」 和美はバッグと大判の封筒を持って、 「ほらタクシーで送ってあげるから、一緒に来なさい」 そう言いながら魚住の腕を引っ張った時に、大判の封筒に入っていた椎名崙土の新作の原稿が落ちた。 「何ですかこれ…」 魚住はその原稿を拾った。 「うわ、これ椎名先生の原稿じゃないですか…」 そして嬉しそうに、その原稿を見ている。
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