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「週刊誌はお嫌いですか…」
宇治宮も崙土の横で同じようにして遠くを見る。
「ええ、週刊誌だけじゃなく、メディアってモノがどうも…」
宇治宮はそれを聞いて苦笑した。
「どちらかと言うと先生もそっち側の人間じゃないですか」
崙土はその言葉を無視して、じっと遠くを見つめた。
「私はしがない物書きですよ…。メディアの人間だなんて微塵も思った事ありませんよ」
崙土は縞鋼板の上にタバコを落とし、つま先で火を消した。
「それじゃ。これから新作の発表会ですので…」
そう言うと鉄のドアのノブを握った。
「楽しみにしてますよ。椎名崙土先生の復帰第二作…」
宇治宮は崙土の背中にそう言って笑った。
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