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あらかじめ打合せをしていた司会者との質問が交わされる。
それに答えながら和美の反応を見る。
崙土が答える度に「それでいい」と言わんばかりに和美は頷く。
「では先生から、この作品に対する想いを少し語って頂きたいと思います」
司会者が崙土を中央へと招くと、立ち上がり、演台の前に立った。
「えー」
そう一言発して、マイクの頭を叩く。
スピーカーからトントンという音がして、崙土はそのスタンドに立つマイクを外して握った。
「えー。今回の作品は私の「雨シリーズ」の二作目になります。この「雨シリーズ」は三部作として書き上げております。三作目もそろそろ完成し、皆様の前にお披露目できる日も近いです」
和美は崙土の言葉を聞いて驚いていた。
崙土が三作目を書いている事など知らなかったからだった。
「このシリーズのテーマは「命」です。命の尊さを知らずに生きていく人間と、その命の尊さを知って生きる人間の葛藤を書いた作品になります」
司会者は崙土の様子を見て、マイクを持ち直す。
「今回も既に映画化が決まっている様なのですが…」
崙土は司会者の顔を見て微笑んだ。
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