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椎名崙土は重い瞼を持ち上げ、窓から差し込む強い日差しを手で払う。
そしてゆっくりとベッドに起き上がった。
「何だ…。もう朝か…」
崙土はベッドを抜け出ると、いつもの様に熱いシャワーを浴びた。
そして全身を泡だらけにしながら、昨日の酒を洗い流す様に身体を洗う。
シャワールームを出て腰にバスタオルを巻いたまま、冷蔵庫からミネラルウォーターを取り出した。
ふとキッチンのカウンターからリビングを見ると、ソファで眠る女の姿を見つけた。
「何だ…。ワミ…いたのか…」
崙土はペットボトルを手に持ったまま、眠る女の向かいに座ってタバコを咥えた。
女がゆっくりと目を開けると、タバコを吸いながら自分を覗き込む崙土の顔が見えた。
「せ、先生…」
そう言って、勢い良く起き上がり、
「おはようございます」
と頭を下げた。
そしてテーブルの上のメガネをかけると、崙土がバスタオル一枚でいる事に気付き、顔を赤らめて目を逸らした。
「ワミ。何で、ここで寝てるんだ…」
崙土は立ち上がると、タバコを咥えたまま窓際に立つ。
「え、何でって…。覚えてらっしゃらないんですか…」
崙土は振り返って頷く。
ワミと呼ばれる女は俯いて溜息を吐く。
「先生が酔っ払って大変だと、いつものお店から電話がありまして、私が引取りに行って、連れて帰ったんですよ…。覚えてらっしゃらないのですね…」
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