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崙土はいつもより早くに帰宅した。玄関を開けると莉彩が腕を組んで立っていた。
「どうした…。まだ起きてたか…」
靴を脱ぐと莉彩の横を抜けてリビングのソファに座った。
「どうしたじゃないわよ…」
莉彩の様子が少し違う事に気付き、崙土は顔を上げる。
「何かあったのか…」
莉彩はテーブルの上に一枚の紙を叩き付ける様に置いた。
崙土はその紙を手に取った。
それは、明日発売される週刊誌の記事の原稿だった。
「ゴーストライター疑惑の人気作家、椎名崙土、豪遊の日々」
のタイトルで、数枚の隠し撮りされた写真と、その記事が載っていた。
そしてその記事の最後に宇治宮の名前があった。
「こんな記事出ちゃっても大丈夫なの…」
莉彩がソファに座りながら言う。
崙土は小さく何度か頷くと、その原稿をテーブルの上に放り投げた。
「大丈夫だよ…。別にアイドルじゃないし、酒飲んでいる写真撮られたくらいで…」
「そうじゃないわよ…」
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