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崙土は殆ど眠れずにリビングのソファに座った。
前回もそうだったが自分の小心さに情けなくなった。
それに加え、宇治宮の書いた週刊誌の記事。
それが腹立たしくで仕方なかった。
冷蔵庫からミネラルウォーターのペットボトルを出して飲む。
口から溢れて喉を伝い、ダラダラとシャツを濡らすが、構わずに一気に飲み干した。
荒い息を整えると、書斎に戻り椅子に座る。
机の上に置いた最新の原稿を開いた。
そしてその原稿を捲って行く。
ふとあるページで手を止め、ページを戻しては進みを繰り返した。
気が付くとその原稿の端を握りしめ、手を震わせている。
崙土の目からは止めどなく涙が溢れ出していた。
「莉彩…」
崙土はそう呟くと上を向いて涙がこぼれない様に鼻をすすった。
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