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宇治宮はコンビニに並ぶ、自分の書いた記事が載る週刊誌を見つめていた。
宇治宮自身も椎名崙土の新刊が発売される日にその記事をぶつけて、崙土の本の売れ行きをどうこうしようと言うのが目的ではなかった。
逆に崙土の人気にあやかり、週刊ファーストスクープの発行部数を増やす事が目的だった。
コンビニで買い物をする客がどんどんその雑誌をレジに持って行くのが面白くて仕方なかった。
携帯電話がポケットの中でけたたましい音を上げた。
宇治宮はコンビニの外に出て携帯電話を取った。
「魚住さん…。どうされましたか…」
宇治宮はタバコを咥えてそう言った。
「宇治宮さん…。少し聞きたい事があるんだ…」
魚住は暗い自分の部屋の壁に寄りかかり、ガリガリとピスタチオを殻ごと噛みながら電話している。
宇治宮も少し様子がおかしく思い、電話を持ち直した。
「なんだよ…」
「美倉和瑠津というペンネーム。聞いた事ありませんか…」
「ミクラワルツ…。どんな字を書く…」
宇治宮はポケットからメモとペンを出した。
そして魚住が説明する文字を書き込んだ。
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