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和美は十分程で二人分の朝食を作り、食卓に並べた。
「これだけの腕がありながら、独身とはねぇ…。神様も残酷なモンだ…」
崙土は絶妙な塩加減のスクランブルエッグを口に入れる。
「余計なお世話です」
和美は怒った表情のままトーストに噛り付いた。
「私、一旦帰ってからまたお迎えに上がりますので、準備しておいて下さい」
崙土はアイスコーヒーを飲みながら頷く。
「どんなスーツが良いかな…。俺はスーツ苦手で…」
言い終える前に和美が声を発する。
「今日のスーツは帰る前に出しておきますので…」
「はい…。はい」
崙土は気迫に押され二度返事をした。
「野菜も食べてくださいね…」
サラダに手を付けない崙土に和美は言った。
「いや、俺は…、草はちょっと…」
「草じゃありません。サラダです」
怒る和美に慄き、崙土はサラダにフォークを刺した。
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