君の味方

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 その日以降も、私たちは一緒に出掛けた。水族館に、図書館に、博物館など。ヒロくんはやっぱり、結構固い趣味をしていると思う。  図書館って言われた時は驚いた。私たちは喫茶スペースでおしゃべりしたり、閲覧室の椅子に座ってそれぞれ好きな本を読んだりした。  誰かに関係性を聞かれたら姉弟って答えようね、と口裏を合わせておいたが、幸い誰も私たちのことを聞いたりはしなかった。  私とヒロくんの間には、もちろん甘い雰囲気も流れなかった。年が離れているせいもあるのだろう。  だけど、それ以前に私たちは性別を意識しないような、不思議な心地いい、ある意味乾いた関係だった。そう、まるでデジタル世界だけでつながっていた時のように。奇妙なぐらい、波長が合う。でも、互いに(よく)は湧かない。  この関係に名前を付けるとしたら何なのだろう。
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