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「だからね、ひとつだけ言わせてほしいの。私は、あなたがどんな道を辿ろうと、笑ったりしない。いつまでも、味方だよ」
そう声をかけると、くしゃりとヒロくんの顔が歪んだ。張っていた虚勢が全て、崩れたような……一気に、子供のような表情になる。
「私たちって、マーマーッターでのつながりしかないよね。薄い関係かもしれない。でも、縁はあると思うの。……エゴでも、私はヒロくんとまた話したいと思う」
生きて、頑張れ、とは言えないし言わない。ただ、私はあなたとまた縁をつないでいたいと、請う。
味方だよ、と言い続ける。
「ミカゲさん……。ありがとう」
ほろり、ヒロくんの目から透明な涙が伝って、砂浜に落ちた。
「俺……」
言葉にならないようで、ヒロくんはうつむいてしまう。
「帰ろっか、ヒロくん。もう遅いし……」
わざと明るい笑顔を見せると、彼もぎこちなく微笑んでくれた。
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