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「共犯者は……俺?」
「そう」
車六はびしっと磯崎を指指す。
「あんたが犯人に協力したんだ」
磯崎は混乱していた。
共犯者が自分だって?
なぜ警察官である自分が犯人に協力なんかしなければならないんだ?
頭を抱える磯崎。
そんな磯崎を車六はくすくす笑って
「落ち着けよ、相棒」
いつから俺はあんたの相棒になったんだ。
きっと睨み付けると、車六は肩をすくめた。
「何もあんたが殺人に協力したと言っているわけじゃない。ホントの意味での共犯者だと言ってるわけじゃないんだ」
「なら……」
なら、どういう意味だ?
「結果的に犯人に協力する形になってしまったんだよ、あんたは」
そういってニヤニヤ笑う車六。
磯崎はムカッとして
「協力って……俺はそんなこと」
「いいや、あんたはしたんだ。ようく、自分のしたことを思いかえしてみな」
そう言われて、磯崎は急いで頭を回転させた。
仮装パーティーに無理やり巻き込まれた磯崎。
殺人を目撃する。
あわてて犯人を追う。
仮装を脱ぎ捨てる暇もなく。
目撃者の証言から、必死で真ん中の道を走っていく……
「あっ」
と、磯崎は叫んだ。
「まさか……」
車六のニヤニヤ笑いが拡がっていく。
磯崎は信じられないような思いで、呆然となる。
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