1人が本棚に入れています
本棚に追加
あの青年が犯人?確かにあり得なくはないだろうが……
「でも、それじゃダメですよ」
「ダメ?」
「ええ」
磯崎は頷いた。
散々検討した後にこんなことを見逃すとは、車六も疲れているのか?
「だって、実際に真ん中の道路を全力疾走していくカボチャが目撃されているんですから。飲食店の店主達の証言に間違いはありません。奴はあの道に入り込んでいたんだ」
磯崎の反論に車六は慌てなかった。
それどころかにんまりと笑って
「共犯者だよ」
「きょ、共犯者?」
「そう」車六は頷いた「共犯者が逃げていく様を、お人好しの店主達は目撃したんだ」
共犯者だって?
あの突発的な殺人事件に?
いや、仮に共犯者がいたところで、その共犯者が結局道路から消え失せたことになるではないか。
それでは不思議は何も解決していない。
「そもそも共犯者って誰なんです?そいつはどうやって私の視界から消えたっていうんですか!」
予想していた反応だったのだろう。
車六は嗜虐的な笑みを浮かべて
「あんただよ。」
「……は?」
車六はゆっくりと、しかしはっきりと言った。
「共犯者はあんたなんだよ、磯崎さん」
最初のコメントを投稿しよう!